鍼灸院は究極の一品料理店
代表の北川です。
当院も少しずつ認知していただけるようになったのか、県外の方から「私の住む地域にも同じ治療できる鍼灸院はありませんか?」と問い合わせを頂くことが増えてきました。
IBS専門でやっている鍼灸院が日本中で恐らく当院のみなので全く同じではないですが、お近くに整動鍼という技術を使っている院があれば紹介しています。それでも地域によって難しいことがあります。すると「近くの鍼灸院でもIBS治りますか?」と聞かれるのですがこれに答えるのが難しい。
一言で鍼灸院と言っても千差万別だからです。
鍼灸院というくくりは広すぎる
鍼灸院と一言で言っても、「鍼灸師の数だけ技術がある」と言われるほどその治療内容は様々です。
この状況をどう説明したらいいか、と考えた時に「鍼灸院」というくくりが広すぎることに気づきました。どれくらい広いかというと
「一緒にごはん行こうよ、何食べたい?」
「洋食」
「お、おぅ」
くらいの広さです。
「洋食」だけでは店が選べない
洋食と一言で言っても代表的なものだけで
- ハンバーグ
- ステーキ
- エビフライ
- カレーライス
- オムライス
- スパゲッティ
たくさん種類ありますよね。ファミレスならだいたい用意されてますけど、せっかく食べに行くなら美味しい専門店で食べたいもの。
これと同じように鍼灸でも種類があり
ぱっと思いつくだけでもこれくらいあります。
種類により、ツボを使い内臓の調子を整えるのが得意だったり、筋肉にアプローチして痛みを取るのが得意だったりします。
どれに当たるかわからないのに、「鍼灸ならIBSは治ります」とは言いづらいのです。
鍼灸院は究極の一品料理店
それでも、鍼灸が多くの場合IBSに効果があるのは間違いないと思います。Twitterを見ていると色々な場所に住む人が「鍼灸でIBSが良くなった」と書いています。見つけたら嬉しくてリツイートしています。
多くの場合一つの技術で治療することの多い鍼灸専門院は
- カレー専門店
- ハンバーグ専門店
- スパゲティ専門店
などと同じようなものです。
他のメニューはなし!うちはこれだけでやってます、と一見頑固親父の店です。
でも、私はこれを究極の一品料理店と表現できるのではないかと思っています。
メニューは一品。だけど、あなたの好み(体の症状)を聞いて、あなたにとって一番美味しい(効果のある)料理(治療)を提供するのです。もし飲食店ならすごく贅沢じゃないですか?
色々な技術で最高の一品料理を提供しようとしているのが鍼灸院。
これを聞いて、ちょっとでも鍼灸に興味を持ってもらえると嬉しいです。
次回は、ふくぎ鍼灸院がなぜ「整動鍼」という技術を選択したのかお伝えします。
過敏性腸症候群の人がよく飲んでいる薬は何?種類と効果をまとめてみた
毎日のように過敏性腸症候群(IBS)の方と会いお話を聞く中で、処方される薬についても詳しくなってきました。多くの人にとって治療の第一選択は薬物療法だからです。
薬の効果で症状のない日常を送れるようになる人がいる一方で、薬が効かない人も大勢います。
もし薬が誰にでも効くのであればお腹の症状で悩む人はいません。当院もIBS専門でやっていくことはできないでしょう。
「薬を飲んだけど効果を感じられない…」という方たちでも、鍼治療をすることで症状が改善しています。患者さんによっては「完璧とは言えないけど、鍼治療受けてから薬の効きが良くなった気がする」という方もいます。
過敏性腸症候群の患者さんは実際にどんな薬を飲んでいるのでしょうか?今まで聞き取りしてきたものを集計し、薬の種類ごとにまとめてみました。
過敏性腸症候群の薬6種類
過敏性腸症候群(IBS)で使用される薬は大まかに6つに分類できます。
①腸の動きを調整②腸内の水分量を調節③腸内細菌を整える④不安を和らげる⑤漢方 ⑥その他
これらを順番に見ていきましょう。太字は成分名、≪ ≫内は製品名、( )内は効能です。
①腸の動きを調整する薬
- セロトニン受容体拮抗薬≪イリボー(下痢)、ガスモチン(便秘)≫
- オピオイド作動薬≪ロペミン(下痢)、セレキノン(下痢・便秘)≫
- GC-C受容体作動薬≪リンゼス(便秘)≫
- 抗コリン薬≪セスデン(腹痛)、チアトン(腹痛・下痢)、トロンコロン(腹痛・下痢)、ブスコパン(腹痛)≫
これらの薬は腸にあるホルモンや酵素の受容器に働きかけ、動きを抑えたり活発化させたりとバランスをとることで症状を抑えます。
腸に炎症などの異常はなくとも、動きすぎると腹痛や下痢が、動かないとお腹の張りや便秘が起こるのです。
当院の患者さんで最も処方されている薬は圧倒的にイリボーです。次いでロペミン、セレキノン、ブスコパンが同程度でした。これは下痢型の患者さんの割合が多い為です。イリボーはすべての薬を通じて一番多かったです。
②腸内の水分量を調節する薬
これらの薬は腸の中で水分を調節し、便の硬さを調整する働きがあります。
高分子重合体は薬剤がゲル状になり、水分量を調節する事が出来るため便秘にも下痢にも効果が有ります。当院ではコロネルを処方された患者さんがほとんどで、便秘に使うマグネシウム製剤を使われた方は現在のところいませんでした。
便秘を解消しようとして副作用で下痢になる可能性を考えると、両方に作用する高分子重合体が処方しやすいのかもしれません。
③腸内細菌を整える薬
腸内には善玉菌と悪玉菌があり、一般的にお腹の調子が悪い人は悪玉菌の割合が高いと言われます。そのためこれらの薬を服用することで善玉菌を増やし、腸内バランスを整えて症状の改善を目的とします。配合薬とは乳酸菌や酪酸菌などが混ざっているものです。
これらの菌は「お腹にいい」と多くの人に認知されています。しかし低フォドマップ食という食事療法から考えると、過敏性腸症候群(IBS)の下痢型やガスが多い場合は、摂取することで腸内の発酵が進み症状が悪化する可能性があり注意が必要です。
ビオフェルミンを処方されているケースが最も多く、ビオスリーが2番目でした。
④不安を和らげる薬(抗不安薬)
これらの薬を処方される方は特徴があります。自宅などで安心できると症状が出ないが、人が多い場所や不安な状況だと症状が悪化する人です。
うつ病や自律神経失調症、統合失調症などでも使われる薬ですが副作用が強く、集中できない、脱力感や倦怠感が強い、という理由でなるべく服用を控える患者さんも多く見られます。
当院で薬の効果を確認すると、他の薬は効かないけど抗不安薬は効果を感じやすいという方が多いです。処方されている薬の割合はバラバラでした。
⑤漢方薬
- ≪桂枝加芍薬湯(ケイシカシャクヤクトウ)≫(下痢、便秘)
- ≪桂枝加芍薬大黄湯(ケイシカシャクヤクダイオウトウ)≫(便秘)
- ≪大建中湯(ダイケンチュウトウ)≫(冷えからくる腹痛)
- ≪半夏瀉心湯(ハンゲシャシントウ)≫(下痢)
- ≪五苓散料(ゴレイサンリョウ)≫(腹痛、下痢)
漢方薬は自然界にある植物や鉱物などの生薬を組み合わせた薬です。
すぐに効果が出るものもあれば、飲み続ける事で徐々に効いてくるものもあります。
「漢字が難しいので何を処方されたか覚えてないけど、とりあえず漢方飲んでました」
「色々自分に合うように調合してもらってるので、中身は分からないけど飲んでます」
という方など服用経験のある方は多いです。
漢方薬局などで個別に調合してもらう方は長期的に服用する傾向があります。そうでない場合は服用して効果を感じないと、1~2週間くらいでやめてしまう傾向にあります。
特に桂枝加芍薬湯、大建中湯の名前を患者さんからよく聞きます。
⑥その他
- ジメチコン≪ガスコン≫(ガス症状)
ガス症状に悩む方へ処方されます。
- コレスチミド≪コレバイン≫(胆汁酸による下痢)
本来は高コレステロール血症に使う薬です。朝食後の下痢は胆汁酸が原因である、という見解から処方されるケースがあるようです。
集計結果
「よく処方される薬四天王」はイリボー、漢方全般、ビオフェルミン、コロネルでした。
イリボーは過敏性腸症候群の英語名である『Irritable Bowel Syndrome』(IBS)の「Irri」と「Bow」を組み合わせたネーミング。
四天王最強の名を欲しいままにしても仕方ありません。
当院の患者さんには効果がイマイチなんですけど・・・。
薬が効きやすい人と効きづらい人の違いは、傾向が見られませんでした。
鍼治療と薬の関係性
当院に来る患者さんたちはお腹が凄く硬く緊張しています。硬いだけでなく「触らないで!」とばかりに過敏でもあります。この部分を鍼治療で柔らかくする事で、緊張や過敏性が低下し症状が改善します。
鍼治療だけでも十分な効果を発揮しますが、鍼治療後に薬の効果をそれまでより実感する人もいることから、薬の効果を最大限に発揮するための下準備としても鍼治療は有効です。
なぜ効果が変わるのか、ハッキリしたことは言えませんが、他の病気でも体の極度の緊張により薬が効きづらくなる症例を見てきました。IBSでも同じことが起こっている可能性があります。
鍼でその緊張を取ることが出来るため、変化が出るのだと考えています。
そう考えると、症状が重い方ほど薬は効きづらいのかもしれませんね。
ヨガで腹痛や下痢になる理由と対策法
身体が柔らかくなりたい、そう思って15年。ヨガやってみようかな、と思ったらどこも女性限定で行けない…と悩み中の市川です。
あなたはヨガにどんなイメージを持っていますか?
多くの人が「健康になれそう」と思っているヨガですが、お腹が弱いにとっては腹痛や下痢の原因になってしまうことがあります。
今回はヨガをすることでお腹の調子が悪くなる、その理由をお伝えします。
ヨガでお腹の症状が出る理由
ヨガは背筋を伸ばし身体をそらす姿勢をとるため、お腹が常にストレッチのように伸ばされ続け、ストレスがかかるためです。
想像してください。お腹が痛い時トイレやベッドでどんな姿勢ですか?体は丸まっていますよね。
そんな時に体をまっすぐにすると痛みが強くなります。とてもじゃないですが背すじを伸ばす姿勢なんてできません。
この画像ぐらいの運動はお腹が弱いとストレスになります。
そしてお腹が弱い人はふだん症状が出ていない時でも、常に猫背のようになりお腹を硬く緊張させ症状が出ないようにしています。
これがヨガをすることで腹痛、下痢が起きる理由です。
そんな人はどうすればいいの?
ではお腹が弱い人はヨガを続けられないのか。そんなことはありません。
1つの対策として、少しずつ伸ばしていくことで症状を出にくくすることができます。
長時間行ったり大きくお腹を伸ばすと、お腹には強いストレスがかかります。短い時間から無理ない範囲で徐々に行う方法です。
しかし、この方法はヨガの先生とマンツーマンで行っている場合はいいですが、グループレッスンでは短時間で切り上げるという事は難しいと思います。
また、他の人が頑張っている中で自分だけ頑張らない、というのも気が引けてしまうかもしれません。
そのような場合は当院のような鍼治療も有効になります。
繰り返しになりますが、お腹が硬く緊張していることが問題です。腹痛・下痢が起こりやすい人は、おへその下あたりが硬いという特徴があります。
その硬さを取り、リラックスした状態にできればお腹の症状は出なくなります。
柔らかくなれば動きがスムーズになり、ヨガで効率よく体を動かせるというメリットもあります。
過敏性腸症候群かも?と思ったら何科に行くべきか病院のかかり方
まずは近所の消化器内科・胃腸科へ行きましょう。近所になければ普通の内科でも構いません。
慢性的に続く下痢や便秘、腹痛が過敏性腸症候群以外の病気ではないかを調べるのが重要です。
危険な兆候がある場合や、医師が精密検査を必要と考えた場合は大きな病院を紹介されます。
いきなり大きな病院へ行くのはお金・時間の面からおすすめしません。
また、心理的な影響が大きいと判断された場合は、心療内科を紹介されることもあります。
病院のかかりかたのコツ
ここからは私が見聞きしてきた情報を書いていきます。
ガス型だけの症状は心療内科という手も
過敏性腸症候群「ガス型」という症状があります。
- おならが漏れる
- 常にくさく感じる
- 人にクサイと言われる
- おならが気になってしょうがない
このような症状が主で、下痢や便秘はほとんどないという方は最初に心療内科へ行く方法もあります。
元々、過敏性腸症候群は下痢・便秘・腹痛が主な症状でありガス症状は重要視されていません。
その状況で内科へ行くと過敏性腸症候群とは言われず「あの先生は何もわかっていない!」と残念な結果に終わることがあります。
ガス型は下痢や便秘よりも心理的な影響が大きいため、内科の薬で効果が出ない場合は心療内科も検討しましょう。
自分から病名を言わないほうがいい
病名をつける(診断する)という行為は医師にしかゆるされていません。
過敏性腸症候群かもと思い病院へ行くと「私は過敏性腸症候群だと思います!」と言いたくなりますが、グッとこらえましょう。
医師が一番知りたいのはあなたがどんな症状に困っているか、ということです。その上で診断し、適切な薬が処方されます。
医師に症状について質問されたら、実際にある症状を素直に伝えるだけで大丈夫。
良好な関係を築くための、一つの作法です。
婦人科へ通院中なら相談してみよう
女性の場合、過敏性腸症候群とは関係ない症状で婦人科へ通院している人も多いと思います。
そんな人は、かかりつけの病院で相談してみましょう。
医師はこれまでの症状や薬を把握しているため、考慮した薬を処方してもらえます。
また、過敏性腸症候群に詳しい先生を紹介してもらえる場合もあります。
病名は言われないことが多い
医師によりますが、過敏性腸症候群のような病気の場合、病名を言われないことは多くあります。